西野新監督“第一声”で覚悟の転換!ハリル流より日本流

スポーツ報知
厳しい表情で記者の取材に応じたサッカー日本代表の西野新監督(カメラ・竜田 卓)

 サッカー日本代表の西野朗新監督(63)が10日、都内のJFAハウスで取材に応じた。バヒド・ハリルホジッチ前監督(65)の解任が9日に発表されたことを受け、急きょ指揮を託されてから一夜明け「覚悟は持っている」と“所信表明”。6月14日開幕のロシアW杯まで残り約2か月。デュエル(1対1)、縦に速い“ハリル流”から、パスや組織力など日本が得意としてきた戦い方で本番に臨むことを明かした。緊急連載「解任の真実」ではハリル前監督が見せた2つの表情と葛藤に迫る。

 混乱の日本代表のかじ取りを任された西野氏は、背筋を伸ばしダンディーな顔を引き締めた。「会長から(監督就任の)話があったとき少しためらったが、もう前に進むしかない。覚悟、スピリットは持っている」。正式な会見は12日に行われるが、就任後初めてとなった公の場で強い決意を“第一声”に込めた。

 W杯まで約2か月と迫り、残された時間は少ない。どんな戦い方で挑むのか。西野監督が下した結論は、日本らしさという原点への回帰だった。「技術的に世界で通用する部分もたくさんある。規律を持って組織的に戦える強みがある。ないものを求めるより、ベースにあるものに積み上げて良くしたい。そこで勝負する方が早い」。俊敏性、組織力を生かしたパス主体のサッカーでロシアに乗り込む。

 思い出すのは14年ブラジルW杯。当時のザッケローニ監督の下、日本代表は短いパスをつなぎボールを支配して主導権を握る「自分たちのサッカー」で本番を迎えた。それまでの親善試合で強豪のオランダと引き分け、ベルギーに勝利するなど期待は膨らんだが、1分け2敗で1次リーグ敗退。FW本田圭佑らが掲げた優勝の夢は砕け散った。

 理想は4年前に世界で通用しなかった。だが、3年間で積み上げたフィジカル重視の“ハリル流”は選手に浸透せず、拒否反応も出ていた。このため「必要な部分もあるが、追いつかない部分があった」と継続せず。どん底にあるチームへの即効性を期待し、方針転換を選んだ。

 この日は各世代のスタッフが集まった会議に出席した。冒頭のみ参加した日本協会の田嶋幸三会長(60)からは「オールジャパンで乗り切ろう」のゲキが飛んだ。「(サッカー人生の)最後の責任は、こういう場で果たしたいなと覚悟を持てた」。63歳。酸いも甘いも経験してきた西野氏に日本の命運は託された。(斎藤 成俊)

 ◆西野氏に聞く

 ―今日が初仕事。

 「会長から打診があったときから仕事は始まっていると思っている」

 ―会議ではどんな言葉を。

 「自分自身もいろんな思いはあるけど、みんなと共にW杯に責任を持って入る。全員で協力してくださいと。(出席した)スタッフも(A代表に)入ってもらうことも考えているので」

 ―チームづくりは?

 「まだ組閣も決定してないので、これから」

 ―日本サッカーのイメージは?

 「バヒド(ハリルホジッチ前監督)は速さだったり、推進力を積み上げてW杯に臨みたいという思いはあったと思う。壮大で強いイメージだった。これからも求めていかないといけない部分もあるが、ベースにあるもの、そこの強さを積み上げていくことが、さらに大事だと思う」

 ◆W杯の監督と目指したサッカー

 ◆98年フランス大会(岡田武史監督)=1次L敗退

「現実主義」

 ベテランのカズ、北澤を外す仰天人事で守備に重きを置き、強国に立ち向かう。

 ◆02年日韓大会(トルシエ監督)=16強

「フラット3」

 DF3人をフラットに並べる組織的サッカー。選手個々の能力より組織内での対応力を重視。

 ◆06年ドイツ大会(ジーコ監督)=1次L敗退

「自主性重視、放任主義」

 選手たちを戦術で縛らず、ピッチ上での自由な発想を求めるサッカー。

 ◆10年南ア大会(岡田武史監督)=16強

「結果重視」

 開幕前の惨敗続きを受け、パスサッカーから守備的布陣に急きょ変更。堅守速攻。

 ◆14年ブラジル大会(ザッケローニ監督)=1次L敗退

「自分たちのサッカー」

 素早いパス回しで相手を揺さぶり両サイドを広く使い、主導権を握る攻撃スタイル。

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