【エプソムC】2年1か月の休養明けを叩いたグリュイエール、重賞初制覇へ反動No!

◆エプソムC追い切り(6日・栗東トレセン)
第35回エプソムC・G3(10日、東京)の追い切りが6日、東西トレセンで行われた。グリュイエールは栗東・坂路を馬なりで52秒0の好時計をマーク。2年1か月の休養明けを叩いたディープインパクト産駒が、長期ブランクを経て重賞初制覇を飾ることができるか。
2年以上もの長期休養を経たグリュイエールは、細心の注意を払って最終調整に臨んだ。雨の降り続く栗東の坂路。開門直後の馬場がきれいな時間帯に登場したのは脚元への配慮を優先してのもの。単走でスムーズな脚さばきを繰り出すと、ラストも12秒6をマーク。無事に調教メニューを消化できたことが何よりだった。
最終チェックにまたがった福永の表情を見ても、長期ブランクを経験した馬に対する不安はなさそうだ。「2年1か月ぶりの前走はさすがに息がもつか心配だったけど、よく頑張ったよね。今日の動きも良かった。反動は感じられない」
キタサンブラックと同世代の6歳馬。16年3月の名古屋城Sを驚異の日本レコード(芝2200メートル=2分9秒9)で勝ったが、両前に屈けん炎を発症した。休養先の北海道・ノーザンファーム空港牧場では手術をせず、我慢を重ねて回復を待った。「屈けん炎の一番の薬は時間。人間が焦ってはいけません。もちろん馬自身の力、生命力、底力もあって結果につながりました」と同事務局長の並木芳和氏。17年2月にようやくリハビリを開始すると、17年8月に1ハロン14、15秒程度の調整に移行。同年12月には1ハロン13秒程度に負荷のレベルを上げ、今年3月17日に帰厩した。
前走の府中Sでは、超が付く2年1か月の長期ブランクを克服して勝利を飾った。「オーナーに余裕があればこそ。だから辛抱強く我慢してくれ、北海道の牧場もしっかり治療してくれた。多くの人が関わった勝利。我々、厩舎だけでできたものではない」と藤原英調教師は感謝の気持ちを示した。
ワグネリアンでダービー4勝目を飾った金子真人オーナーだからこそ2年以上も待てたのかもしれない。同馬で悲願のダービージョッキーとなった福永とのコンビ。藤原英師のエポカドーロは2着に敗れたが、今度は持っている2人が頼もしい味方に。グリュイエールで重賞初Vを飾り、多くの関係者の思いに応える瞬間が近づいている。(内尾 篤嗣)