【安田記念・川上が見た】香港馬ウエスタンエクスプレス、パワフルな動き披露!

◆安田記念追い切り(5月31日・東京競馬場)
第68回安田記念・G1(3日、東京)の出走馬が31日、確定した。東京競馬場で追い切った香港のウエスタンエクスプレスは、キャンターから軽く追われた程度ながらもパワフルな脚どり。管理するジョン・サイズ調教師(63)が「かなりの穴馬」とほくそ笑む“刺客”を、川上大志記者がコラム「見た」で分析した。きょう1日、枠順が決まる。
東京競馬場のダートコースから、キャンターの蹄音が聞こえてくる。昨年も取材した同じサイズ厩舎で昨年10着、一昨年12着のコンテントメントは「パカパカ」と軽快だったが、今年のウエスタンエクスプレスは「ドシッドシッ」と音の響きがパワフル。前走のチャンピオンズマイル(2着)が554キロ。筋骨隆々のボディーをアピールしながら力強く駆け抜けた。
昨年10月のセレブレイションC・G3(8着=約575キロ)以降、休むことなく、今回が17―18シーズン11戦目。馬体重は20キロ近く減っているが、それでも細く見せないのは持って生まれた立派な馬体のおかげだ。「今年10走以上走ったが、それに耐えうる体があるからずっと変わらず走れている。日本は初めてだけど、ワイドで大きい東京コースなら心配しなくていい」と、サイズ調教師もタフネスぶりに目を細める。
厩舎の先輩コンテントメントは同じローテーションで16年(521キロ→500キロ)、17年(516キロ→500キロ)と馬体重を大幅に減らしての出走だったが、この馬は31日時点で「554キロ」(サイズ師)。ただ一頭で来日し、普段と異なる環境で調整しても前走時の体重を維持できているというのは心強い。
ボウマン騎手の騎乗停止により、2度のG1・2着時にいずれも騎乗していたクリッパートン騎手に乗り替わったのも結果的に強調材料だろう。「24歳と若くて日本は初めてだから、彼にはプレッシャーをかけないように(笑い)。2度の2着で自信をつけているし、この馬との相性に期待したい」とトレーナー。日本競馬初参戦の人馬が、上位進出を目指す。(川上 大志)
<サイズ調教師「うちの馬はかなりの穴馬」>
―追い切りはダートコースを約1周。キャンターから、直線では軽く追う内容でした。
「今回はこれまでとは違う新しい環境で、単独での調整。乗っていた調教助手とは『リラックスしすぎるのも良くないので、真面目に集中できるように乗ってくれ』とオーダーした。その指示の下、しっかり調整できたと思う」
―4月29日のチャンピオンズマイル(2着)から、ここまでの調整は。
「しっかり走っていたし、その後は3週間の休息を挟んだ。香港でバリアトライアルを受けたあと来日したが、競馬で強い負荷もかかっているので、来日後に追い込む必要はなかった。馬格が大きく、食欲もある馬。輸送の影響も受けにくく、力強い状態だ」
―自身の管理馬は、08年のアルマダ(2着)が最高成績。レースに向けて期待のほどを。
「普段からおとなしい性格だし、あとはレース当日に、久々に他の馬を見てどうなるかだけだね。決まった枠で、並びなどを見ながら周囲の馬の研究はしていきたい。今回、うちの馬はかなりの“穴馬”だと思う。大穴を当てたいファンの方には、大きな幸運が訪れるかもしれないね(笑い)」(聞き手・川上 大志)
<G1・2着2度と好相性のクリッパートン騎手が日本初騎乗>
サミュエル・クリッパートン騎手(24)=オーストラリア=は、今回が日本での初騎乗。1日に東京競馬場に入り調教騎乗はしないものの、パートナーの様子をチェックする予定だ。
10年に母国でデビューし、12/13年シーズンから2季連続で見習リーディングを獲得。14年のパーシーサイクストリビュートS(インティメイトモーメント)で重賞初制覇を果たすなど、早くから頭角を現した。16/17年シーズンから拠点を香港へ移し、初年度からリーディング6位と存在感を発揮。17/18年シーズンはリーディング15位止まりだが、ウエスタンエクスプレスとは17年香港マイル、18年チャンピオンズマイル(いずれも2着)と好相性だ。