【巨人】ドラ3大城、ルーキー最速プロ1号「サイレント・トリートメント」で祝福

◆ヤクルト7―4巨人(8日・神宮)
巨人ドラフト3位の大城が、12球団のルーキー最速でプロ入り初アーチを放った。3度目のスタメンマスクをかぶって3回、山中から右翼上段へと運ぶ1号ソロ。ナインから「サイレント・トリートメント」で祝福を受けた。守備面では盗塁を3度許すなど課題が残ったが、期待通りの打力を発揮。3連敗のチームに光明をもたらした。
滞空時間の長い打球は大きな放物線を描き、右翼スタンド上段まで届いた。大城は表情を変えることなくダイヤモンドを一周したが、左翼のG党は大きく沸いた。1点を追う3回1死。山中のアンダースローから投じられたスライダーを仕留め、プロ初本塁打を放った。「手応えはよかった。(スライダーを)捉えるところまでしっかりと見て、打つことができた」。プロ7試合、12打席目で飛び出した記念すべき一発は、両リーグ最速の新人「1号」となった。
ベンチへ戻ると、思わぬ洗礼も浴びた。村田ヘッドコーチとはハイタッチを交わしたが、他のナインやスタッフは表情を変えることなくベンチへ座ったまま。大城が戸惑いながらヘルメットを外すと、全員が急に立ち上がり、笑顔でハイタッチを求めた。
メジャーでは初アーチ後の歓迎の儀式「サイレント・トリートメント」。大谷が初本塁打を放った際にはテレビで何度も映像が流れていたが、「それは知りませんでした。ビックリしました」。温かい祝福に、思わず笑みを浮かべた。
NTT西日本での3年間を経て、即戦力捕手として入団した大城は、2人の兄の思いも背負いプロでプレーしている。東海大相模高、東海大と常に2歳上の兄・昌士さんの背中を、双子の兄・建二さんとともに追いかけてきた。野球一家で育った環境で、ある思いが芽生えていた。母・淳子さん(54)は「兄弟では『3人の中で誰か一人でもプロにいこう』という話をしていたみたいです」と振り返る。
現在、昌士さんは西部ガス、健二さんはトヨタ自動車でともに社会人野球でプレーしているが、「全員がいけるわけではないですし、プロは目指していたステージ。(兄弟で)一人でもいけたことはよかったです」と卓三。春季キャンプ2軍スタートからオープン戦での猛アピールを経て、開幕を1軍で迎えると、今では小林と正捕手争いを繰り広げるまでに成長した。
ただ、守備では3回までに3盗塁を許すなど、スタメンマスクをかぶった3試合目で初黒星。「自分の実力不足。次も走ってくると思いますし、しっかり準備していかないと」と悔しさも見せたが、強打の捕手としての存在感は日に日に増している。(後藤 亮太)
◆大城 卓三(おおしろ・たくみ)1993年2月11日、沖縄・那覇市生まれ。25歳。東海大相模高で3年夏に甲子園準V。東海大、NTT西日本を経て、17年ドラフト3位で巨人入団。兄の昌士(現西部ガス)、双子の兄・建二(現トヨタ自動車)も東海大相模野球部出身。187センチ、89キロ。右投左打。年俸1000万円。