是枝裕和監督が帰国&凱旋会見「トロフィーを抱いて寝ようかな」

スポーツ報知
凱旋帰国会見をする是枝裕和監督は、パルムドールを手に笑顔を見せる(カメラ・佐々木 清勝)

 第71回カンヌ国際映画祭で俳優のリリーフランキー(54)と、女優の安藤サクラ(32)のダブル主演映画「万引き家族」(6月8日公開)で最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督が23日夜、滞在先の米ニューヨークから帰国し、記者会見を開き、「ようやくここに帰ってきて、スタッフのにこやかな顔を見て実感がわいてきました」と笑顔を浮かべた。

 日本人監督がパルムドールに輝くのは1997年の今村昌平監督の「うなぎ」以来、21年ぶり5作品目。この日、会見は午後10時半開始にも関わらず、テレビカメラ約15台、約80人の報道陣が鼻息を荒くし、集結した。是枝監督がトロフィーを持って登場すると、無数のフラッシュがたかれた。まぶしそうに目をぎゅっと閉じ、「これだけの記者の方たちが集まっていることが、大きな賞だと改めて思う」と反応の大きさに驚いた。

 悲願のトロフィーは同映画祭の授賞式後に一度スタッフへ渡し、会見で“再会”した。「記者会見終わったら(トロフィーが)どうするかと相談はしていないので、一晩くらいは抱いて寝ようと思います」とこの日、一番の笑顔を浮かべた。

 同作は東京の下町を舞台に、高齢者の家に年金を頼りに転がり込み、軽犯罪で生計をたてる家族を描く。審査員長で女優のケイト・ブランシェットは授賞式後のパーティーで、劇中で安藤が涙を流すシーンを「今回の審査員を務めた私たちがこれから映画の中で泣く演技をしたら、安藤サクラのマネをしたと思っていてください」と絶賛したという。是枝監督もそのシーンを「特別な瞬間」と振り返り、「色んな化学反応が現場で起きて、いい映画ができたのかなっていう実感はありました」と手応えを感じていた。

 是枝監督は、同映画祭で04年「誰も知らない」で柳楽優弥が男優賞を受賞し、13年、福山雅治主演の「そして父になる」では審査員賞を受賞。5回目のコンペティション部門出品で栄冠を手にしたが、是枝監督の夢はとどまる所を知らない。というのも、同映画祭閉幕後に次回作の打ち合わせでニューヨークへ。「打ち合わせ自体はうまく行き、パルムドールのことも知られていたので…その時は(賞を)取ってよかったなって」とニヤリ。具体的な内容については「色々差し支えがありまして、色々しゃべれないんですよね。近々、製作会見があると思うのでお待ちください」と期待を込めた。

 パルムドール受賞にともない、同作の公開館数を予定していた200館から300館以上に増加。公開する映画館で6月2、3日の2日間に先行上映が行われる。また、28日発売される是枝監督書き下ろした、同名小説は初版4万部に加え、3万部の重版がすでに決定した。

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