加山雄三、船の新造「今は考えられない」我が子のような愛船の炎上に涙

俳優で歌手の加山雄三(80)が2日夜、東京・羽田空港で緊急会見し、1日夜に静岡県西伊豆町の港で自身が事実上のオーナーとして知られるプレジャーボート「光進丸」(全長30・5メートル、104トン)の炎上について謝罪した。82年に進水した3代目で、自身と同じ今月11日に誕生日を迎える予定だった愛船を失い、「長い間の相棒が消えていくのは本当につらい」と涙。自作の船で世界一周という夢を掲げてきたが、今後の新造船についても「今は考えられない」と悲しみに暮れた。
約100人の報道陣を前に、加山は憔悴(しょうすい)した様子で「多くのご心配とご迷惑を掛け、心からおわび申し上げる」と頭を下げた。
光進丸炎上の一報は、沖縄・宜野湾市のライブ後の打ち上げ中に受けた。原因は「心当たりもない」。一夜明けてこの日夕方に鎮圧したが「修復はまず不可能でしょう」と肩を落とした。「我が子のように作り上げた」「分身みたいな存在」と愛船を回想した。
最後に乗船したのは「1週間以上前」といい、5月には親しいアーティストを招いて船上パーティーを開く予定だった。「精神的に追い詰められた時にいつも温かく迎えてくれて、僕を癒やしてくれた。長い間の相棒がこんな形で消えていくのは本当につらいです」と涙ながらに語った。
小型船舶操縦士の免許を取得するため、映画「赤ひげ」の撮影を抜け出して試験を受けたほどの愛船家。1964年8月、自ら設計した初代・光進丸が進水。“海の男”の象徴として、65年公開の主演映画「海の若大将」にも登場した。現在の光進丸は82年の自身の誕生日の4月11日に進水した3代目で、“36歳”を迎える直前だった。グアム島など各地の海を航海し、「思い出は尽きない。特別な場所だし、楽しい時間が多かった」という。
「80歳になったら自作の船で世界一周」の夢を掲げてきたが、新造船については「今は考えられない」とうつむいた。それでも「海への愛と感謝は変わりません。夢は捨てません。一歩一歩、地に足をつけて歩いていきたい」とキッパリ。同船について歌った楽曲「光進丸」(78年)について聞かれると、「光進丸よ、心からおまえを愛してる。幸せをありがとうと感謝しながら生涯歌っていきたい」と誓った。