【日本ハム】清宮「打った瞬間」新伝説幕開け1号「まぐれではないかな」

スポーツ報知
2回無死、右越えにプロ初本塁打を放った清宮は、打球の行方を確認しながらゆっくりと走り出す(カメラ・谷口 健二)

◆オリックス2―8日本ハム(9日・京セラドーム大阪)

 日本ハムのドラフト1位・清宮が、オリックス戦(京セラD)でプロ初本塁打を放った。2回先頭から、ディクソンの初球スライダーを右越えに運ぶ先制ソロ。出場7試合目、24打席目での初アーチとなり、プロ初打点を挙げた。デビューから全7試合連続で安打をマークし、1966年ドラフト制後の新人では巨人・原辰徳らを抜いて最長も更新。高校通算111本塁打を誇った怪物・清宮の、新たな伝説が始まった。

 待ちに待った瞬間が、ついに訪れた。自身7試合、24打席目。清宮のバットが、ついに放物線を描き出した。2回先頭。ディクソンの初球、真ん中高め131キロのスライダーを捉えた。白球が快音を残して舞い上がる。ゆっくりと走り出し、右翼席に飛び込む打球を見送った。「打った瞬間、という感じでした」。こらえていた喜びが、三塁を回った付近であふれ出す。満面の笑みで戻ったベンチでは、ナインの祝福が待っていた。

 プロ野球史をまたも更新した。豪快な一発でデビュー戦からの連続安打を7試合に更新。ドラフト制後(66年以降入団)の新人で、初試合から出場全7試合での連続安打は巨人・原辰徳らの6試合を抜いて最長となった。

 理想の打撃を目指してもがいている。6日のロッテ戦(札幌D)まで行っていた、右足を上げる直前にバットを投手方向に倒す動きを「タイミングが合っていない」と8日から封印した。ディクソンに対しては映像で配球などを研究。スライダー狙いの理由は「勘?」ととぼけたが「これまで打席を重ねてきて打てた本塁打。まぐれではないかなと思います。一日一日、成長できている」と胸を張った。

 豪快な一発で刻んだプロ初打点にもなった。毎試合安打は放ちながら打点がないことを気にかける姿を、栗山監督は「チームを勝たせるということを小さい時からやっている選手。一番いいところに意識がある」と評価してきた。初本塁打は先制弾となったが、怪物は「自分はただ先制本塁打を打っただけ。記録はうれしいんですけど、勝てたことが一番うれしい。先輩たちに感謝しかないです」と控えめに笑った。

 怪物は、怪物らしくない一面も見せる。それがナインに愛される理由だ。8日の試合前は、1軍昇格後初の遠征で選手ロッカーの場所が分からずに困惑し「先輩たちから『こっちだよ』と(言われた)」と苦笑い。だが、グラウンドに出れば熱い。4回の大田の左越え3ランの瞬間には「行けー!」と絶叫。指揮官もほれ込む天真らんまんな性格で、チームに溶け込んでいる。

 ラグビー・ヤマハ発動機監督の父・克幸氏(50)の出身地の大阪で、球団の高卒新人では13年の大谷翔平(現エンゼルス)以来のアーチ。試合後はプロ初のお立ち台に立ち、戻ってきた記念球を手に「忘れられない一日になる」とニッコリ。栗山監督は「本当にいいホームラン」と絶賛した。

 理想に掲げるソフトバンク・王貞治球団会長(77)でも、初本塁打は27打席目だった。目指す868本の頂へと確かな一歩を踏み出した18歳は「一日一日、しっかりやるだけです」。世界一を目指す怪物の旅が始まった。(小島 和之)

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