【日本ハム】清宮、プロ初打席初スイングでフェンス直撃二塁打 ゴジラ再現デビュー

◆日本ハム0―1楽天(2日・札幌ドーム)
日本ハムのドラフト1位・清宮が、本拠地の楽天戦に「6番・指名打者」でスタメン出場し、2回のプロ初打席で好投手・岸から中堅フェンス直撃の二塁打を放った。その後の2打席は空振り三振に倒れ3打数1安打も、3月半ばに「限局性腹膜炎」と診断されて出遅れたルーキーが一流投手を相手に豪快な打球を披露。プロ初安打でフェンス直撃二塁打を放った93年の元巨人・松井秀喜氏(ヤンキースGM付特別アドバイザー)をほうふつさせる鮮烈デビューを飾った。
緊張が襲うはずのプロ初打席でも、清宮はやはり怪物だった。午後6時34分。2回2死の第1打席。心の中にあった言葉は「平常心」。球場中の視線が注がれる中、楽天先発・岸に対しカウント1―1からの3球目だ。外角高めの145キロに振り負けなかった。快音を残した白球は中堅フェンスを直撃。全力で一塁を蹴り、ベース手前で速度を少し緩めた。二塁上で小さく息を吐くと、本拠の大歓声に少しだけ笑みがこぼれた。
「気負うことなく平常心でいられた。(打った瞬間に)ツーベースかなと思ったので、打球は見ずに走ってました」。本塁打まであと2メートルという当たりでプロ初打席初安打を記録。開幕26戦目で迎えたデビュー戦を華々しく飾った。
強烈な飛球が、ゴジラの初安打をほうふつさせた。1993年5月1日の巨人・ヤクルト戦。巨人1年目の松井氏は、第2打席で東京Dの中堅フェンスを直撃する適時二塁打でプロ初安打を決めた。あと1メートルでスタンドイン。その25年後、高校通算111発を放ってプロ入りした怪物も、まるでゴジラロードに導かれるように中堅フェンスへと大飛球を放った。
松井氏との縁は幼少期からつながる。04年のヤンキースの日本開幕戦(東京D)を清宮少年は生観戦。「(松井氏が)本塁打を打ちましたよね。覚えています」。14年後、たくましくなった18歳がゴジラばりの強打で実力の片りんを示した。
黄金ルーキーの船出は、13年に日本ハムに入団した大谷(現エンゼルス)とも符合する。二刀流が開幕スタメンで対決した投手も、当時西武に在籍していた岸だった。今では世界を驚かせる男もプロ初打席は見逃し三振。清宮はいきなり初打席で結果を残した。
悔しさも味わった。1点を追う7回の第3打席は、2死三塁で低めの133キロチェンジアップに空振り三振。「そこで打てたら試合も変わっていたのかなと悔しい。安打は1本出たけど、チームが勝つことの大切さも分かった。次はチームを勝ちに導けるように」と表情を引き締めた。
試合には敗れたが、観戦した父・克幸さんへは最高の親孝行。記念のボールは「父にあげます。『打ちました』と言えればいいかな」と照れた。「今日はうれしいことと、悔しいことがあったけど、課題が見つかる試合はなかなかない。いろいろなことが詰まりすぎた一日でした」。松井氏は、デビュー翌日にプロ初アーチを放った。3日の相手先発は左腕の辛島。課題と収穫を得てプロとしての産声を上げた怪物は、ゴジラと同じ軌跡を描けるだろうか。(小島 和之)