大谷、開幕10試合で2勝&3発の99年ぶり快挙も調整法は手探り続く 

スポーツ報知

◆エンゼルス6―1アスレチックス(8日・アナハイム)

 【アナハイム(米カリフォルニア州)=小谷真弥、金岡美佐】エンゼルスの大谷翔平投手(23)が8日(日本時間9日)、衝撃の2勝目を挙げた。アスレチックス戦で本拠地初登板初先発し、剛速球とスプリットを武器に7回1死までパーフェクト投球。7回1安打無失点に抑え、毎回の12奪三振と圧倒した。1シーズンで「3戦連発」&「12K」はメジャー初の快挙だ。

 ほえた。大谷は気迫の雄たけびを上げた。7回2死二、三塁、オルソンを低めのスプリットで空振り三振に切り捨てた。本拠地初登板で7回1安打無失点。ファン大熱狂の開幕2連勝だ。

 「こういう投球ができて良かった。何より期待に応えることが一つでもできたことに、うれしさを感じている。期待を裏切らないように、活躍できるように毎日毎日練習しているので」

 完全試合が期待された。最速160キロで押し、スプリットを低めに集めた。7回1死でセミエンに左前打を許すまで19者連続斬り(前回試合から通算27人連続)。前回6回3失点で初勝利を挙げたア軍相手に、すべて空振りで毎回12Kの奪三振ショー。そのうち4個は3球三振だった。

 「安打を打たれていないのは知ってたけど、完全試合をしようというのはなかった。むしろ『いつ(安打が)出るか』と待っていた。気持ちを整理して次の打者に向かうのが大事。最後の球が一番いい所にいったのは良かった」

 1シーズンで3戦連発&12奪三振は長い歴史のメジャーでも初。チーム開幕10試合で2勝&3本塁打は1919年のセネタース(現ツインズ)、ジム・ショー以来99年ぶりで、また歴史の新たな扉をこじ開けた。それでも、中学1年時の全国大会出場をかけた東北大会の代表決定戦で規定の6イニング全18アウトのうち17三振を記録するなど、数々の伝説を持つ剛腕は「人生一番(の投球)は小学校ぐらいの時?」とケロリ。日本人の新人選手では初となる4月中の週間MVP受賞へ視界良好だ。

 打たれる気がしなかった。チケットは完売し、今季最多4万4742人が観戦。98年に球場を改修してからのデーゲーム最多記録で、初安打後はスタンドは総立ちとなった。「すごい声援に押されたというか、抑えられる雰囲気を球場全体に作ってもらった」。自己最速165キロを記録した16年のソフトバンクとのCS最終ステージ第5戦と同じ無双の感覚。声援を力に変えた。

 グラウンド外では“手探り”が続く。ソーシア監督ら首脳陣と調整法、起用法について日々話し合っている。3日の練習でメジャーでは見慣れない両翼ポール間の走り込みも行った。この日は気温24度、湿度45%の好天。イニング間はウィンドブレーカーを着込み、手のひらサイズの重いトレーニングボールを使い肩を温めた。プレー中は右手に息を吹きかけて乾燥を防いだ。

 「(状態は)日に日に良くはなってる。(まだ)相手も僕のことを理解してない状態。今はいい方に転がっているけど、それが難しくなった時に、また壁を破れるように」

 漫画でも描けない躍動を、まだまだ続ける。(小谷 真弥)

 ◆第1、2戦連勝は5人目 日本人先発投手でデビュー戦から2戦連続白星は97年伊良部秀輝(ヤンキース)、02年石井一久(ドジャース=6戦全勝)、09年上原浩治(オリオールズ)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)に次いで5人目。

 ◆史上3人目 デビュー2試合目までに7回以上投げ1安打以下&12K以上は60年J・マリシャル(ジャイアンツ)、97年S・ウッダード(ブルワーズ)に次いで3人目。

 ◆25空振りは今季最多 この日奪った空振り25は、昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞、M・シャーザー(ナショナルズ)の23を上まわって今季最多。

 ◆被打率、WHIPはともにメジャー首位 防御率2・08は27位だが、被打率9分3厘、WHIP(1イニング当たりの被安打+四球)0・46はともにメジャーNO1。

 ◆大谷の無双感覚 16年10月16日のソフトバンクとのCS最終ステージ第5戦で「3番・指名打者」で先発出場。3点リードの9回にDHを解除して登板。超満員の札幌Dは総立ち。自身の持つ日本最速を1キロ更新する165キロを出し、4年ぶりの日本シリーズへ胴上げ投手となった。大谷は17年1月の長嶋茂雄氏(巨人軍終身名誉監督)との対談で「あの時は特別。本当に打たれる気がしなかった。僕の力がどうこうではなく、球場全体がそういう雰囲気にさせてくれた」と振り返っている。

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