【2004年】朝青龍が3年連続受賞 大横綱の仲間入り

年間5回の優勝で文句なしの年間最優秀力士に選ばれた朝青龍は、クリスマスツリーの前で笑顔を見せた 年間5回の優勝で文句なしの年間最優秀力士に選ばれた朝青龍は、クリスマスツリーの前で笑顔を見せた
 報知新聞社制定「平成16年(2004年)第47回報知年間最優秀力士賞」が20日、3年連続で東横綱・朝青龍(24)=高砂=に決定した。選考委員会が東京・丸の内のクラブ関東で開かれ、満場一致での受賞となった。表彰式は来年1月9日、初場所(両国国技館)初日の土俵で行われ、黄金の表彰状と賞金100万円、副賞のキヤノンカメラが贈られる。
◆来年3大目標は…連勝更新!6場所完全V!男の子も欲し~い!

 朝青龍が“やんちゃ横綱”らしく舌を出して笑った。「今年の報知は(昨年よりは)オレにやさしかったもんね」3年連続の受賞だが、昨年までとはレベルが違う。

 昨年は、圧倒的強さの一方で“マゲつかみ反則騒動”など、品格面の欠如ばかりがどうしても目立ち「報知に叩かれた1年だったよ」と苦笑いしながらの受賞だった。だが、今年は2場所連続全勝優勝に始まり、夏場所中は歴代単独5位の35連勝を樹立。九州場所は大鵬、北の湖、千代の富士に続く年間5場所優勝達成で締めくくった。

 大横綱の仲間入りをしたと言っても異論は出まい。今年の正月にはけいこ始めをすっぽかし、夏には禁酒の反動で泥酔事件なども起こしたが、「横綱は神様」と言っても素顔は24歳の青年。土俵内でこれだけ“仕事”をきっちりすれば、文句のつけようはない。  最近はゴルフに熱中し始めた。相撲は極めたが、芝の上ではまだまだ。「やればやるほど面白い。でも難しいんです」と初心者らしいコメント。これが、図らずも格下の力士の気持ちを理解する手助けにもなっているようだ。

 来年の目標は、ほぼ決まった。まずは連勝記録の更新。「35連勝で止まったのが一番悔しかった。もう少し伸ばしたかった。九州場所は千秋楽で魁皇関に負けてるから、ゼロからやり直しですよ」2つ目は史上初の年間6場所完全制覇で「努力すればできないことはない」。その先には横綱・北の湖(現理事長)の年間最多勝記録(1978年、82勝)更新も視野に入る。  そして3つ目が“朝青龍2世”の誕生だ。「娘(イチンホルロちゃん、1歳8か月)も立ってしゃべれるようになったんです。次はやっぱり男の子が欲しい。お相撲さんにするって決めてるんです」

 05年は白鵬、琴欧州、稀勢の里ら新興勢力の台頭が必至。戦いはさらに激しくなる。「自分で山を築いて、その山を登る。それが最高なんだ」と朝青龍。来年の年の瀬も、再び笑っているつもりだ。(甲斐毅彦)

 ◆朝青龍明徳(あさしょうりゅう・あきのり) 本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ。1980年9月27日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。24歳。高砂部屋。97年に来日し、高知・明徳義塾高に相撲留学。99年初場所、初土俵。2000年秋場所、新十両。01年初場所、新入幕。02年名古屋場所後に大関。同年九州場所、14勝1敗で初優勝。03年初場所後に横綱に昇進。初土俵から所要25場所での最速昇進記録を樹立。優勝9回。殊勲賞3回、技能賞3回。得意はもろ差し、寄り、投げ。家族はタミル夫人(24)と長女・イチンホルロちゃん(1歳8か月)。184センチ、139キロ。

 ◆選考経過

 選考自体は3分足らずで終わった。朝青龍の実績に対抗馬がいるはずもない。「文句ない。秋場所の9勝6敗が気に入らないが…」と伏見委員。「(朝青龍も)人間だということ。(横綱として)風格が出たし、変わったなと思いました」と有馬委員は人格面も評価。衆議一決で受賞が決定した。

 受賞者の選考以上に、委員たちが気にしていたのが日本人力士の不振。朝青龍を頂点として白鵬(モンゴル)、琴欧州(ブルガリア)、露鵬(ロシア)、黒海(グルジア)と、ホープは外国人ばかり。気を吐いた日本人力士は秋場所優勝の大関・魁皇と九州場所新入幕の稀勢の里ぐらい。特に、魁皇以外の大関陣は壊滅状態だ。

 「ちょっと大関がダメですね」と安西委員。元文部大臣の有馬委員は「学力低下が話題になっているが、学力よりも体力の低下が著しい。相撲をやってもけがをするだけ。日本人力士がいなくなったのはそのせいですよ」と日本の子供の体力低下を危ぐ。各委員も大きくうなずいた。

 「国民運動として体力増進、運動能力向上に取り組まなければ」と有馬委員。相撲界だけでなく、日本の社会構造や政治にもかかわってくる大問題を解決してくれる日本人のスター力士は、いつ出てきてくれるのだろうか。(草野直樹)

 ◇選考委員 有馬朗人(前参院議員)、安西邦夫(東京ガス会長)、佐田の山晋松(日本相撲協会元理事長、第50代横綱)、小松崎和夫・報知新聞社代表取締役社長、伏見勝・報知新聞社最高顧問、西山忠雄・報知新聞社取締役編集局長

◆朝青龍の成績

場所 成績
東横綱◎15勝0敗
東横綱◎15勝0敗
東横綱◎13勝2敗
名古屋 東横綱◎13勝2敗
東横綱  9勝6敗
九州 東横綱◎13勝2敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 朝青龍 高砂 78勝12敗 .867
2 魁皇 友綱 69勝21敗 .767
3 千代大海 九重 57勝33敗 .633
4 若の里 鳴戸 55勝35敗 .611
5 琴光喜 佐渡ケ嶽 54勝36敗 .600

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